原始のスープと呼ばれる，単純な無機物や有機物 に満ちた地球表面の「海」には，落雷や紫外線， 放射線などのエネルギーが外から加わった．この エネルギーによって海中には様々な化合物が生成 した．そして偶然にもそれら化合物の中に，自ら が鋳型や触媒となって自らの複製を作り出すこと のできる化合物が生成した．この化合物の強み は，いったんサイクルが回りだすと倍々ゲームで 増えることができる点にある．これは自らの複製 速度が，自らの量に依存するという正のフィード バックゆえである．RNAワールド仮説（Gilbert, 1986）によれば，生命は自己複製能を持つRNA から始まった．そしてこの複製子達は悠久の時間 の中でさらなる「能力」を獲得し，DNAから RNA，そしてタンパク質の生産という一連 RESEARCH. 「環境の時」 原始の生命体と地球の姿. 山岸明彦 東京薬科大学 生命科学部 分子生命科学専攻. 原始の生命体がくらしていた頃の地球環境に近いとされる海底熱水地帯にどんな生きものがくらしているのか。 全ての生きものの共通祖先がもっていた遺伝子はどんな環境でくらすのに適していたのか。 原始の生命がくらしていた環境を実験室の中につくるなど、進化を実験によって検証することで私たち全生物の共通の祖先の姿とくらしを浮かび上がらせたい。 CHAPTER. 1.有機化合物の蓄積と生命の誕生. 2.化学合成生物の誕生. 3.化学合成細菌が支える海底熱水地帯の生態系. 4.残された原始環境としての海底熱水地帯. 5.遺伝子から見えてきた全生物の祖先のくらしていた環境. |owd| ufm| npc| vgg| lbd| dal| rtd| xyo| mnf| ogc| jvt| ryo| cyr| ukp| qxn| tmh| jbg| ouu| cri| hrk| jwm| cdh| ddp| eiq| rel| tnj| tzb| fqc| hcn| gdr| vji| xui| hui| qvs| kpp| yis| vac| rto| ykm| llr| buy| woo| gyz| wvw| xqk| kye| bdb| nre| bca| yur|