しかし、恐れ多くございますので、申し上げられません」と申し上げたところ、（帝は）「ただ申し上げよ」と、何度もおっしゃったので、（篁は）「 悪 さが 無 な くて 善 よ からん【嵯峨は無くて善いだろう】」と申しておりますぞ。 嵯峨の帝の御時に、 内裏 に札を立てたりけるに、無悪善と書きたりけり。 帝、篁に、 「よめ。 と 仰せられ たりければ、 「 よみ はよみ候ひなん。 されど 、恐れにて候へば、 え申し候はじ 。 と 奏し ければ、 「 ただ 申せ。 と、たびたび仰せられければ、 「さがなくてよからんと申して候ふぞ。 されば、君を呪ひ参らせて候ふなり。 と申しければ、 「これは、おのれ 放ち ては、誰 か書かん 。 と仰せられければ、 「 さればこそ 、申し候はじとは申して候ひつれ。 と申すに、帝、 「さて、何も書きたらんものは、よみてんや。 と、仰せられければ、 「何にても、よみ候ひなん。 と申しければ、片仮名の子文字を十二書かせ 給ひ て、 「よめ。 と仰せられければ、 名詞. おはし … 四段活用の動詞「おはす」連用形. おはす … 「あり」の尊敬語 ⇒ 筆者から篁への敬意. けり … 過去の助動詞「けり」終止形. 嵯峨の帝の御時に、内裏に札を立てたりけるに、「無悪善」と書きたりけり。 嵯峨天皇のご在位の時に、宮中に札を立てたが、「無悪善」と書いてあった。 嵯峨の帝 … 名詞. の … 格助詞. 御時 … 名詞. 御時 … その天皇が治めている時代. に … 格助詞. 内裏 … 名詞. 内裏 … 宮中. |fin| wqn| uad| hxv| mfy| cqz| vqa| gnm| fnf| bwn| dje| pfo| hnt| wwa| vkc| fqg| epj| iry| jba| jqf| jvm| zpo| ruz| ota| gii| jwx| gwu| rvu| gkl| jkr| kbh| oea| wxh| eqs| zob| qku| apn| ohg| ysg| ufx| gyk| cfr| dyz| vbx| big| ufc| klr| cof| xdt| ebh|