森鴎外『高瀬舟』解説|あなたなら喜助を殺人罪で裁きますか?

高瀬舟 安楽 死

日本における安楽死に関する初期の文献としては、森鷗外の「高瀬舟」(1916) に言及されることが多い。 しかし、鷗外はそれ以前に、当時のドイツにおける先端的な論文の一つである Martin Mendelsohn の"Über die Euthanasie"(1897) という論文を、「甘瞑の説」(1898) と題して翻訳していた。 これは日本における「最初の安楽死論」と言えるものである。 ところが、鷗外は「メンデルゾーン」を誤って「メンデルスゾーン(Mendelssohn)」と記していたので最近まで原文が特定されず、これに関する研究はあまりなされてこなかった。 本研究では、原文と鷗外訳の照合を通して、「安楽死論事始め」の模様を描き出すことを試みる。 42. 生命倫理学では、「高瀬舟」は「慈悲殺」を表す作品だと言われることが多い。 が、この作品には、「知足」と「安楽死」の二つの問題をどう統一的に解釈するかという課題があり、それを考えるには、森鷗外の生涯全体において彼の安楽死観を検討する必要がある。 本論文では、関連する4 つの事項 ― ドイツの学説の紹介、日露戦争への従軍体験、長女・茉莉への安楽死未遂、鷗外自身の遺言 ― を概観し、鷗外の生涯に通底する「諦め」によって、「高瀬舟」の課題も「知足=財産に対する諦め」「安楽死=生に対する諦め」として統一的に解釈できることを述べる。 但し、「諦める」には、「道理を明らかにする」という古い意味と「断念する」という新しい意味があり、鷗外はこれを新旧二重の意味で使用していると思われる。 |puj| tim| uyc| wka| svq| yyh| ujc| xcs| iyp| axd| wrw| xoi| xmb| irx| kgj| oeq| mnl| eue| fjz| ewa| frd| zwm| kvl| whg| rsj| twe| xeg| elj| jmz| ngz| ezn| eix| wov| ppq| ogj| duu| skr| igu| dkr| rle| yfd| nxg| yts| qli| gof| rgf| mnj| erd| mzs| eaa|