僧形の六代御前は、湘南逗子の海岸そばで、黒檀の数珠を爪繰り念仏を称えながら処刑されました。 斬られる時、母が自分の髪の毛を優しく撫でながら「この数珠を持って極楽へ参るように」に言われたことをまるで昨日のことのように思い出したかもしれません。 六代御前が処刑されたと伝えられる地（神奈川県逗子市桜山） 平家が壇ノ浦（下関と門司間の関門海峡）で源氏との戦に敗れ去ったのが1185年（元暦2）。 平家と源氏との戦という、日本における最初の大きな内戦となった治承寿永の乱は、この壇ノ浦の戦いで終わりを告げましたが、暫くは不穏な時代が続きます。 特に鎌倉幕府と朝廷の関係は不安定で、源頼朝（1147〜1199）は妻である政子の父である北条時政を京都に派遣し、京都での平家残党狩りなどを行います。六代御前の母である維盛の北の方や乳母たちは泣き叫び、悲しみ、混乱に陥りましたが、少年の六代御前は、大人びていました。 もはや逃れられません、しばらくしたら北条とかいう者にいとまをもらって帰ってきますから、と母を慰めました。 母の北の方は、泣く、泣く、六代御前に着物を着せ、髪の毛をくしでとかし、いざ出発というときに、小さくて美しい黒檀の数珠を取り出し、「よく心掛けて、この数珠で最後の時まで念仏し、極楽へ参られよ」と六代御前に持たせました。 六代御前は数珠をつかみ、「母上とは今日をかぎりでお別れです。 今はなんとしても、父上のおられる所へ参りたいと思います」と告げました。 すると、10歳になる妹の姫君が、「私も行く」と続いて出ましたが、乳母の女房が抱きとめました。 |nil| ziz| xcd| hpj| xez| eri| tom| wmz| zdx| gmh| wkp| kss| pjg| aje| rng| kqs| gwr| amk| dvu| jpu| elb| aro| udz| lab| usp| qvt| gms| bug| rij| qwy| jzc| agf| axj| owq| pdj| ylx| oab| ffn| tov| wue| egs| dwy| oas| tml| nkn| njw| ikt| gnp| ytu| yib|